Q17 「安保条約廃棄」で日本の安全はまもれるのですか


日米安保条約はアメリカが日本の本土に自由に米軍事基地をつくることを認め、極東地域でアメリカにいったんことがあれば日米両国で軍事行動をおこすという軍事同盟です。軍事同盟は20世紀の遺物のようなものです。
 
20世紀、アメリカとソ連を中心に、世界中に軍事同盟が張りめぐらされました。ソ連が崩壊し、軍事同盟はアメリカを盟主とするものだけになりました。

  • ●米州相互援助条約(リオ条約―米国と中南米22カ国)
  • ●北大西洋条約機構(NATO―米・カナダと欧州24カ国)
  • ●日米安保条約
  • ●アンザス条約(ANZUS―米・豪・ニュージーランド)
  • ●米・フィリピン相互防衛条約
  • ●米・韓相互防衛援助条約
  • ●東南アジア条約機構(SEATO―オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、タイ、英国、米国)
  • ●中央条約機構(CENTO―イギリス、イラン、イラク、トルコ、パキスタン、米国は58年にオブザーバー参加し実質的に機構を主導)

がそれです。
 
しかし、それらの軍事同盟はほとんど崩壊したり、事実上機能しなくなっています。ANZUS条約は、ニュージーランドがアメリカの核持ち込みを認めない非核政策をとるようになり、米国が防衛上の義務を打ち切った86年以降、機能を停止しています。リオ条約は「米州の一カ国にたいするいかなる国による武力攻撃も、米州のすべての国に対する攻撃とみなす」という共同防衛条項をもち、アメリカが中南米を「裏庭」として確保するための軍事同盟でした。
 
しかし、メキシコが昨年、正式脱退したほか、米州のほぼすべての国が参加する米州機構で、米州の安全保障問題は米国の専権事項ではないことが確認され、さらにすすんでいまでは、アメリカの支配からの自立を旗じるしに、民主的変革の巨大な波はベネズエラ(97年)、ブラジル(02年)、アルゼンチン(03年)、パラグアイ(03年)、ウルグアイ(04年)、ボリビア(05年)と南米全体に広がっています。
 
NATOでは、イラク戦争をめぐってフランス、ドイツ、カナダ、ベルギーなど一連の主要国が強く反対し、分裂状態となりました。欧州側の加盟国と大部分が重なる欧州連合が、国連中心主義と多国間主義を打ち出した安全保障戦略を採択する(03年12月)など、アメリカの単独行動主義には一線を画すようになっています。
 
いま、残っている軍事同盟は、日米同盟と日韓同盟ぐらいです。その結果、いまアジアでは米軍は日本と韓国だけに集中。その韓国でも、粘り強い米軍基地反対運動を背景に、米軍基地の大幅縮小がすすもうとしています。日米関係は世界から見るとまったく異常な関係です。
 
世界は軍事同盟から、国連憲章にもとづく平和秩序、紛争の平和解決、各国の経済主権と民主的な国際経済秩序に大きく転換しています。日米安保条約は逆にアジアの脅威になっています。
 
「北朝鮮が日本に攻めてくる、核攻撃をしかけてくる」などと宣伝されます。拉致問題など、北朝鮮の態度は容認しがたいものがりまあすが、北朝鮮の核開発も、閉鎖的な外交姿勢も、日米同盟、日韓同盟によって北朝鮮周辺にアメリカが核を配備し、核脅威にさらされていることが要因です。安保条約の存在が北朝鮮に核開発の口実を与えてきたのです。
 
この核開発をやめさせるうえでは、北朝鮮の安全は核兵器ではなく、周辺諸国と友好関係を築くことで保障されるということを主張し、受け入れさせなければなりません。ところが、日本政府は、日本の平和は安保条約にもとづくアメリカの核兵器で保たれているという立場、核兵器が必要だという点では北朝鮮と似通った立場にたっているため、北朝鮮の主張を道理を持って、強く批判することができません。この点でも、北朝鮮の核問題を解決するうえで、安保条約が障害となっているのです。
 
「万々一の備えが必要」などという人もいますが、いま必要なことは、世界の大きな平和と友好の流れのなかで、日本が憲法9条の立場に立って大いに役割を果たすことです。世界はそれを日本に期待しています。アメリカの関係は、軍事同盟をなくして、日米友好条約を結すび、対等な日米関係を確立する必要があります。