表現への不当な干渉/「九条俳句訴訟」原告が陳述

昨年6月、さいたま市の公民館から「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の俳句の公民館だよりへの掲載を拒否された俳句サークル会員の女性(74)が、掲載を求め市を提訴した裁判の第1回口頭弁論が25日、さいたま地裁で開かれました。

意見陳述で女性は俳句について、東京で出会ったデモが「憲法9条守れ、平和を守れ」という自分の思いを重なり、感動して詠んだ句だと述べました。会でも特選を得たその句が「世論を二分する内容だ」と公民館が拒否したことを、「公民館が立ち入る権限はないはず」と批判。「自由にものが言え、自由に表現ができ、当たり前のことが当たり前に出来るよう、民主主義を後退させないように(求めます)」と語りました。

弁護団は、公民館は俳句の内容を見て掲載を拒否したと述べ、憲法学者から「事実上の検閲」と批判されていると指摘。全国で「政治的中立」を口実に行政が公共施設での表現や活動に干渉する事例が相次いでいるとして、この裁判で行政の不当な干渉に違法の判断を下すことが重要だと主張しました。

多くの市民や学者・文化人が応援に駆けつけ、俳人の金子兜太(とうた)さんは、ひとりの女性の素直な俳句の政治性を問題にすることに「驚きあきれ…危険を覚えている」とメッセージを寄せました。

(しんぶん赤旗2015年9月27日付より)