さいたま市の自転車レース赤字 穴埋め予算が廃案

党市議団「実行委の責任明らかに」

20日閉会した、さいたま市議会12月議会で、市長提案の補正予算を廃案にする異例の事態が起きました。予算案は、同市で開かれた自転車レース大会の赤字を市が穴埋めするというもの。市議からは税金による赤字補てんとともに、事業決定のずさんさや不透明さが批判され、議案の「出し直し」が迫られた形です。

大会は自転車レースのツールドフランスの名を冠した「さいたまクリテリウム」で、同市中央区の、さいたま新都心にコースを設け、世界のトップ選手を競わせました。

大会は、市や市の外郭団体などでつくる実行委員会の主催で、清水勇人市長が会長です。当初の事業予算は3億5000万円で、市が1億5000万円を補助することになっていました。

ところが開催後、2億円以上の支出超過になったことが判明。企業からの協賛金をさらに集めることは困難として、清水市長は追加補助を市議会に提案しました。

12月議会への提案は1億5200万円です。清水市長は、来年2月議会にさらに約4000万円を追加提案する予定でした。

審議の中で、約2億円の追加支出は、清水市長が実行委員会会長として議会にも実行委員会にもはからず開催日直前に決めたことが明らかになりました。

日本共産党の神田義行市議は「追加支出を自分で決め、市民の税金で尻ぬぐいさせるやり方は問題だ。税金の私物化になりかねない」と批判。「事業費がふくらむことは9月の段階で予測できたのに見直さなかった。実行委員会の責任を明らかにすべきだ」と指摘します。

ほかにも審議によって、▽大会運営当事者を抜きに、ずさんな事業費の見積もりをしていた▽ASOとの契約が秘密扱いで議会にも黒塗り書類を提出▽30億円とされる経済波及効果を算定したのは実行委員会の副会長―など、さまざまな問題が明らかになりました。

日本共産党市議団は「事業費がふくらんだ原因と責任が解明されないなかで補助金の追加は認められない」としています。(赤旗2013年12月29日付より)