埼玉・川島町 新庁舎ムダ設計26億円に増 住民投票条例 有権者3割署名

埼玉県川島町の町役場庁舎の建て替え計画をめぐり、「住民の声を聞いていない」として、町民が設計の見直しを求めています。15日には、計画の是非を問う住民投票条例の制定を求め、有権者の3割にあたる5305人分の署名を町選管に提出しました。(埼玉県・川嶋猛)

新庁舎問題を話し合う町民と(左から)岡部会代表、道祖土、栗岩両町議=2014年2月、川島町

新庁舎問題を話し合う町民と(左から)岡部会代表、道祖土、栗岩両町議=2014年2月、川島町

現庁舎は築58年と古く、耐震性の不足などの問題が生じています。建て替えは10年以上前から検討されており、当初は「建設基金8億円の範囲内で」と議論していました。しかし、町は2012年11月には建設費約22億円の基本計画案を、今年1月には、さらに約4億円アップした建設費25億7900万円の基本設計を町民に示しました。

基本設計では、新庁舎は2階建てで、中央部の待合スペースは吹き抜けになっており、外壁は曲面になっています。着工は6月ころとしています。

計画是非問う

日本共産党の栗岩輝治町議は、計画案の段階から「新庁舎は必要最小限にすべきだ」と議会で論戦し、ビラで町民に問題を知らせてきました。他市の状況なども調査し、吹き抜けや曲面の壁をなくすことなどで、建設費を15%削減できると提案してきました。

町民は1月、「川島町の将来を考える会」を結成。栗岩町議と無所属の道祖土証(さいど・いさむ)町議も参加しました。会は2月に「町民のつどい」を開き、新庁舎問題を話し合いました。参加した120人の町民からは「待合室は広くなくてもいい」「曲線構造は不要」など計画への疑問が相次ぎました。

会は、3月議会に見直しを求める約2400人分の請願署名を提出。町議14人のうち栗岩、道祖土両氏以外の反対で請願は不採択になったものの、会は、ただちに住民投票条例請求の署名に取り組みました。

栗岩氏は「署名は1カ月の短期間に多くの町民が自発的に取り組み、予想を超える数になりました。3割の有権者の意思を町長も議員も無視できないはずです。ほとんどの町民は新庁舎の具体的な計画を1月に初めて知りました。本来、町が住民に信を問うべきだったのに、お手盛りの検討委員会で計画を進めたことが問題を大きくし、町民を動かしました」と語ります。

町民の声聞け

会の岡部巌代表(73)は「検討の過程で町民の声を聞く機会は少なく、議会でも請願は不採択になり、町民の声は無視されました。住民投票条例請求の署名は、何としても住民の声を聞く機会をつくろうと取り組んだもので、署名数は、町議選で当選した議員の得票の半分を目標にし、それを超えました。議員は真剣に受け止めるべきです」と話しています。

条例は、署名の審査や縦覧を経て、町長に本請求し、議会で可決されると住民投票が実施されます。(赤旗2014年5月1日付より)