首都圏でスーパーを展開ずる「いなげや」(本社・東京都立川市)の男性社員=当時(42)=が2014年、埼玉県の店舗で勤務中に倒れて死亡し、さいたま労働基準監督署が長時間の時間外労働が原因として労災認定していたことが17日に分かりました。遺族側代理人弁護団が記者会見し明らかにしました。
弁護団によると、男性は志木柏町店で一般食品チーフとして勤務していた14年5月25日、接客中に言葉が急に出なくなり救急搬送されました。検査で異常は見つからず、同6月2日に復職しましたが、3日後に駐車場で倒れているのが見つかり、同21日に脳梗塞で亡くなりました。
同労基署は勤務記録などから、5月の発症前の4カ月間の残業が月65~96時間余りで平均すると約76時間と認定。これ以外の残業も推定され、不規則なシフト勤務による過重労働が原因として、昨年6月に労災認定しました。
いなげやでは、03年にも東京都の店舗に勤務していた男性社員が過労自殺しています。弁護団は「過去の過労死を真剣に受け止めず労務管理を怠り、店舗従業員の多くがタイムカードを押さずに勤務を始めるなどサービス残業が常態化していた」と指摘。残業の実態調査や遺族への謝罪、慰謝料などの支払いを同社に求める通知を送りました。
同社広報は取材に「社員が過労死した事実は把握しているが内容を確認した上で対応したい」としています。
(「しんぶん赤旗」4月18日付より)