教員の死 アスベスト原因/公務災害認定求め妻提訴 さいたま地裁

提訴の前にデモ行進する四條さん(中央)と弁護団、支援者=2014年7月30日、さいたま市

提訴の前にデモ行進する四條さん(中央)と弁護団、支援者=2014年7月30日、さいたま市

埼玉県戸田市の市立小学校の教員だった四條昇さん=当時(54)=が2007年、アスベストを原因とする心膜中皮腫(ちゅうひしゅ)で亡くなったことについて、公務災害の認定をしなかったのは不当だとして、四條さんの妻、延子さん(62)が30日、地方公務員災害補償基金を相手に決定の取り消しを求める訴訟を、さいたま地裁に起こしました。

訴状によると、四條さんが1980年から88年まで勤務した市立小学校の階段の天井にはアスベストが存在し、四條さんは上り下りや掃除のたびにアスベストを吸い込み、それが原因で発症したとしています。しかし、公務災害だとして申し立てた地方公務員災害補償基金審査会は「アスベストが存在したことを直接示す証拠がない」として認めませんでした。

原告は、87年に同小学校でアスベスト除去工事を行っていたことを当時の日本共産党市議団の広報や市教職員組合の機関誌が記述していること、当時の同僚の証言などを証拠に挙げ、「アスベストの存在は強く推認できる」と主張しています。

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提訴後、記者会見した延子さんは「真実を明らかにすることで、ほかの教職員と教え子を守るという夫の願いを果たしたい」と語りました。(赤旗2014年7月31日付より)