日本共産党員や支持者などが職場を解雇された「レッドパージ」の埼玉県内在住の被害者が26日、埼玉弁護士会に人権侵犯救済の申し立てを行い、被害者の名誉回復や損害賠償を国に勧告するよう求めました。申し立てたのは、1950年に官庁や郵便局、国鉄、民間企業を追われた80代の男女5人。
レッドパージ反対埼玉連絡会の権田圭助世話人、伊藤岳事務局員(日本共産党参院埼玉選挙区候補)らが同席しました。
郵便局に勤めていた田中宗太郎さん(85)=深谷市=は「企業の秘密をもらすおそれがある」などの理由で解雇されました。記者会見で田中さんは「憲法や国際法の流れからみて国は誤りを認めるべきです」と訴えました。
商工省(現経産省)の職員だった浅野径さん(85)=ふじみ野市=はレッドパージ後に再就職先も短期間で追われて正規の仕事に就けず、年金が少額になるなど現在の生活にも支障が及んでいると話しました。
中外製薬を解雇された児島重助さん(88)=ふじみ野市=は、労働組合に分断が持ち込まれ、たたかう労働者が排除されていった状況を語りました。
代理弁護人の伊須慎一郎弁護士は「国が被害者の救済を64年間放置してきたことは法治国家として認められない。憲法に根ざして政府、国会、最高裁は動いてほしい」と述べました。
レッドパージ被害者については、日弁連や地方の弁護士会が人権救済を勧告しています。
レッドパージ
1950年の連合軍総司令官マッカーサーの指令による日本共産党や支持者の公職追放に前後し、米占領軍の示唆を受けた日本政府や財界が共産党員や労働組合活動家など3万から4万人を職場から追放した事件。被害者は、思想・信条の自由が侵害され、生活苦を強いられたとして国に名誉回復と国家賠償を求めています。
(赤旗2014年8月27日付より)