オール埼玉総行動実行委員会 県内すみずみまで〝毛細血管〟のように、緻密に働きかける

燃え上がる「憲法対決」

埼玉県で思想・信条・党派を超えた幅広い団体・個人が結集して市民と野党の共闘を呼びかけてきた「オール埼玉総行動実行委員会」。安倍首相が今年狙う9条改憲の発議を止めるため、「地域のすみずみまで“毛細血管”のように入り込み3000万署名を広げよう」と全力をあげています。(秋山豊・日隈広志)


発議阻止へ 共闘を力に

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(写真)「オール埼玉総行動実行委員会」の参加団体も加わる「戦争させない! 埼玉の会」の街頭宣伝=さいたま市

オール埼玉総行動実行委員会の小出重義委員長(元埼玉弁護士会会長)は、「相手も決死の覚悟で改憲しようとしています。3000万署名を成功させれば、安倍首相は国民投票がこわくて発議ができなくなるし、政権も吹き飛ばすことができるかもしれません。運動の成功にむけて、市民と野党の共闘が大きな力となる。改憲を断念させるため、地を這(は)うような努力をしなければいけません」と力を込めます。

戦争をさせない埼玉県1000人委員会呼びかけ人で、オール埼玉総行動実行委員会の田中重仁(しげひと)副委員長(元埼玉弁護士会会長)は、「さまざまな団体が結集し、考え方も支持政党も異なりますが改憲阻止は一致した気持ちです。立場を超えて力を合わせるときです」と語ります。

県内200万人の署名を呼びかける同実行委員会。安倍内閣が立憲主義を破壊し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行した2014年の結成以来、105団体・25個人が結集しています。

自民党が発議の目標とする6月初めをヤマ場として同3日に改憲を阻止する1万5000人超の集会・パレードを計画。県内全自治体の首長、県議、市町村議にも参加と署名を呼びかける予定です。

さらに署名推進の跳躍台として2月26日に開く集会では埼玉弁護士会、連合埼玉、埼労連が後援。幅広い枠組みで、改憲発議阻止の県民世論を爆発させようと考えています。

日本会議地方議員連盟の中枢で活動する自民党埼玉県議は「一度、改憲発議をして国民投票で負けてしまえば、私たちが生きている間に憲法改正はできなくなる。改憲にむけた国民運動をもっと強く動かさなければ」と危機感を口にします。

実行委員会の贄田教秋(にえだ のりあき)事務局長(埼玉革新懇事務局長)は「私たちが県民の支持を得るか、改憲派に奪われるか。バチバチと燃えあがるような対決となっている」と強調します。

「地域連絡会」コツコツと

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(写真)小出重義・オール埼玉総行動実行委員会委員長

実行委員会は、16年の参院選後、次期総選挙を見すえて立憲主義回復と安保法制廃止のたたかい強化を呼びかけました。これに応え、県内15の小選挙区ごとに市民と野党の共闘を進める「地域連絡会」が1年がかりで結成。昨年10月の総選挙で持ち込まれた突然の逆流と分断を乗り越え、3000万署名に立ち上がっています。

贄田事務局長は「県内すみずみまで“毛細血管”のように入り、どれだけ緻密に働きかけるかが勝負。自民党や公明党の地方議員、支持者を含めて改憲阻止の声を広げぬく」といいます。

各地の「地域連絡会」が力となり、寒風のなか署名用紙を手に1軒1軒訪問し、街頭宣伝や講演会などが取り組まれています。実行委員会は、署名とともに地方議会への請願にも取り組みます。

小出委員長は、安倍9条改憲の本質とごまかしを明らかにし、自信を持って県民と対話するための学習が署名の輪を広げる力になると強調します。

「安倍首相が憲法に明記しようとしているのは、安保法制のもとで集団的自衛権を行使できる自衛隊です。日本が、米国に求められれば拒否できない戦争国家になる危険があります。自衛隊員を死地に向かわせることになってしまう」

自民支持者“改憲に疑問”

草の根の憲法対決は激しさを増しています。県内では、安倍首相と一体に9条改憲を進める改憲右翼団体「日本会議」が県本部や支部など20もの組織をつくっています。さいたま市の浦和駅前をはじめ各地で「『ありがとう自衛隊』の声を広め自衛隊を憲法に明記しよう!」とあおるビラがまかれています。

前出の自民党埼玉県議は「護憲派は安倍総理のもとでの改憲反対というが、中身の議論でなく世論誘導だ。私の支持者にも『安倍総理の憲法改正はちょっとね』という方がかなりいる。護憲派の運動は参考にしたいくらいうまいよ」といらだちます。

田中副委員長は「立憲主義を破壊し続け、森友・加計をはじめ多くの疑惑を抱える安倍首相の改憲は許せないという国民の批判は当然です」と指摘。実行委員会参加団体・新日本婦人の会埼玉県本部も加盟する「戦争させない! 埼玉の会」の街頭宣伝でも、若い女性が「安保法制や秘密保護法を通した安倍首相のもとで、戦争に向けた準備が進んでいるようで怖い」といって署名しました。

実行委員会副委員長で、新婦人埼玉県本部の加藤ユリ会長は、安保法制に反対する女性が学習会・デモに取り組んできた「レッドアクション」によって、運動に参加したことがなかった女性も含めて共同が広がり、署名運動成功への展望になっているといいます。

“戦争はすべて破壊する”

労働組合や市民団体などが「地域連絡会」と結びつき、創意あふれる運動を展開しているのも特徴です。

埼玉土建一般労働組合では50人、100人と目標を定めて署名を広げる「署名レンジャー」が活躍。登録者は2000人を超え、戦争法反対2000万署名時の1800人を上回っています。

島野義人書記次長は「戦争が起これば、建設従事者は戦地に引っぱられ、道路や弾薬庫をつくらされる。物をつくることが誇りなのに、戦争は全ての物を破壊する。憲法を守るのは使命です」と語ります。35万人の署名を目標に掲げる埼玉土建は、昨年末までに7万人を目指し、約8万人と超過達成しました。

署名レンジャーはそれぞれの地域・職場で運動の先頭にたっています。元瓦職人の男性(85)は、ソ連軍侵攻という状況のなか、長兄が満州(中国東北部)で遺骨も残らず亡くなった体験を胸に、毎日駅頭に立ち続け、500人に迫る署名を集めています。

若い世代も奮闘しています。畳職人の男性(37)は、自民党支持者も多い消防団の会合でも署名を訴えています。「埼玉土建の先輩たちは、署名で世論を広げて平和を守ってきました。僕も、先輩たちが築いてきた伝統を受け継いで9条を守りたい」

(「しんぶん赤旗」1月11日付より)

党県委員会と県議団が上田知事に予算要望

日本共産党埼玉県議会議員団は10月23日に「2018年度埼玉県の施策並びに予算編成に対する重点要望・提案」を提出し、上田清司知事と懇談しました。

日本共産党埼玉県委員会から荻原初男県委員長、党県議団から柳下礼子団長、村岡正嗣県議、秋山文和県議、金子正江県議、前原かづえ県議が出席し、上田知事はじめ、奥野立・飯島寛副知事が応対しました。

要望では、第一の柱として「北朝鮮の核実験・ミサイル問題の危機打開、核兵器禁止の実現、戦争のできる国づくりをストップさせるために」、第二の柱として「国民健康保険の共同運営開始にあたっての特別要望」をはじめとして、389件を要望・提案しました。

懇談の場では、党側から憲法を守り、生かす県政の実現を求めました。とくに、国民健康保険制度の共同運営にあたって、財政の責任主体として国保税の引き上げをせず、引き下げるよう市町村を指導することなどを強く強調しました。

一方、知事は、国保はナショナルミニマムであり、国が本来やるべき。過渡的に都道府県運営となっているが、国が財政負担を増やすようしっかり対応したいなどと述べました。

●地域の公的病院守れ 久喜でシンポ

埼玉県北東部の利根市地域の医療や介護、福祉を考えるシンポジウムがこのほど、久喜市で開かれ、120人が参加しました。
同市では、医師不足などが原因で昨年、公的病院の厚生連・久喜総合病院が民間譲渡されたほか、済生会栗橋病院の急性期病床の加須市への移転が計画されるなど地域医療への市民の不安が広がっています。
 発言した「済生会粟橋病院の存置存続を求める市民会議」の梅沢佳一事務局長は、市民をあげて同病院の移転反対に取り組んでいることを報告。済生会本部が移転を決定するまで今後1年以上かけて調査を行うとしていることから「移転は決まっていない。市内で唯一の公的病院を残すために運動を進めたい」と語りました。
日本共産党の石田利春市議は「現地存続のために、久喜市は済生会栗橋病院への支援内容を具体的に示すべきだ」と述べました。
コーディネーターの本田宏医師は、埼玉県の医師不足の実態を語り、医師の抜本増員や医療補助職員の充実を訴えました。
シンポジウムに先立ち、三重短期大学の長友薫輝教授が、病院の合併・買収に見られる医療の市場化と医療費抑制政策について講演。医療の市場化は「健康格差」を拡大さると指摘し、住民参加で、まちづくりの視点から医療整備を進めるべきだと語りました。
(「しんぶん赤旗」6月28日付より)

●「部落差別」解消推進法を考える 埼玉でつどい

埼玉県地域人権運動会連合会(人権連)大宮支部はこのほど、昨年12月に日本共産党以外の賛成で可決した「部落差別解消推進法」について考えるつどいを、さいたま市で開きました。
全国人権連の吉村駿一副議長が講演し、部落差別の解消に向けた長年の取り組みで「社会問題としての部落差別は解消した」と強調。ところが解消法は部落差別の定義がなく、一人でも差別があると言えば「ある」ことにされてしまうと問題点を指摘しました。
同法が施行されたもとでの運動の課題について、法が定める「教育、啓発」「実態調査」が薪たな差別を生むことのないようにする」とした付帯決議を守らせ、地方自治体に法を具体化する条例制定をさせないことや、部落解放同盟の「球団」を許さないこと、地区や住民を特定した調査を行わせないことなど、法を乱用させない取り組みを呼びかけました。
県人権連の三枝(みえだ)茂夫会長が、県内自治体の同和行政の実態を語りました。
(「しんぶん赤旗」6月25日付より)

●埼玉全選挙区に地域連絡会 野党共闘8区の会が結成

衆院埼玉8区(所沢市、三芳町、ふじみ野市・大井地区)で野党共闘を進める「安保法制廃止・立憲主義回復!野党共闘をめざす8区市民の会」は1日、所沢市で結成集会を開き、800人が参利しました。これにより、県内15小選挙区のすべてに野党共闘を推進する「地域連絡会」が発足しました。

「オール埼玉総行動」の小出重義実行委員長は、市民主導の野党共闘が選挙で勝利を収めていると述べ「安倍政権の横暴・独裁を埼玉から阻止しよう」とあいさつ。市民代表でスピーチした青年や女性は「野党共闘で命を大事にする社会をつくろう」「こどもを戦争に近づけさせない」と訴えました。

野党代表があいさつし、つじモトミ8区候禰は「野党共闘で攻めているのは私たち。この流れをさらに広げれば安倍暴走政治にストップをかけるごとができます」と強調。民進の小野塚勝俊元衆院議員(同候補)は「野党がしっかり連携し、市民と一緒に政治を変えていく」と語りました。

社民党と自由党の県代表がメッセージを寄せ、市民ネットワークの所沢の末吉美帆子市議もあいさつしました。同志社大学大学院の浜矩子教授が講演し、安倍政権をめぐる状況の変化を指摘し「政治は変えられる」と語りました。

(「しんぶん赤旗」6月7日付より)