2019年の草加市議の辞職について、日本共産党埼玉県委員会は以下の見解(あらためて2019年の草加市議の辞職について)を新たに発表しました。
あらためて2019年の草加市議の辞職について
2023年3月18日 日本共産党埼玉県委員会
2020年、日本共産党東部南地区常任委員会は、2019年12月に党議員団から離れ別会派を立ち上げた元党市議3名の「除籍」を決定し、地域新聞「明るい草加」などを通じて市民のみなさんにお知らせしてきました。しかし、現在に至っても元党市議らは、自分たちの行動を正当化するため、ブログやSNSなどで事実をねじまげて発信し、被害者を傷つけるとともに日本共産党にたいする悪罵・誹謗をおこなっていますので、あらためてこの問題について事実経過をはじめとする見解を掲載することにしました。
なお、これまでは「被害者」について実名を伏せてきましたが、被害者本人の了解もあり、被害者が大里陽子前党市議であることも明らかにしました。
一、東部南地区委員会は、2020年9月に日本共産党市議だった佐藤憲和、斎藤雄二、石田恵子の3名の市議について、党員としての資格を失っていると判断して除籍しました。3名の市議は、同市議団の元市議がおこしたセクハラ問題について機関の判断に納得できないとのことで、話し合いをしている途上で離党届を郵送し、別会派を結成するという党を分裂させる行為をおこないました。日本共産党は、元市議がおこなった行為について、社会的道義に反するものとして、規約にもとづく処分と議員辞職勧告の方針をもつとともに、被害者の「二次被害」を防ぎ、被害者の尊厳を守ることを問題処理の第一に考えるとの方針をもちました。
加害者自身はセクハラ行為に対して「合意があったとは思いません」「私の行為は確信犯だったと思います。これは職務上の地位を利用した行為であり、パワハラと言われても過言ではない。また、女性の尊厳を無視した行為であり、セクハラだったと思います」と述べています。これだけ明確になっているにも関わらず3名の市議は、「被害者にも責任がある」として、被害者を加害者と同列に扱い、「加害者だけでなく被害者も辞職させ、事態を公表するべき」という立場をとりました。このことは、今日のジェンダー平等を求める社会の到達点から見ても厳しく戒められていることです。3名の市議が主張するように、もし党が被害者名までも公表するならば、党自身が被害者をさらに苦しめてしまう「二次被害」に追い込む加害者になりうるものであり、「被害者までも公表せよ」との主張は認められるものではありませんでした。
3名の元党市議は、自分たちの意見が通らないことを理由に、機関との話し合いの途上で離党届けを出して党を飛び出し、別会派をつくるという行為に走りました。離党届と別会派結成に際し、佐藤市議は「共産党が事実を公表せずに対応を遅らせた。問題の隠ぺいだ」とマスコミに語り、草加市だけでなく全国の党に打撃を与えるものとなりました。
二、こうした経過のうえに、東部南地区常任委員会は、離党届を提出し別会派をつくった佐藤憲和、斎藤雄二、石田恵子の3名の元党市議について、党員としての資格を失っていると判断して「除籍」を決定しました。地区委員会は、「3名のとった行動は、意見の違いを理由に、機関との話し合いの途上で離党届けを郵送し、さらに議会で別会派をつくるという、党を分裂させる行為である」「この行為は、『共産党議員団消滅』とメディアでも報道されるなど、全国的な規模で党に打撃を与えるものになった。同時に、草加市党組織に重大な混乱をと困難をつくりだした」としています。
三、党を除籍された3名の元党市議は、その後も自分たちの行動を正当化するため、日本共産党攻撃ととともに、被害者市議…大里陽子氏の尊厳を傷つける言動を繰り返しています。
一つは、「被害者にも責任があった」という点です。地区委員会、県委員会は、加害者および被害者双方から報告文書を提出してもらいました。加害者はこうのべています。「(被害者)の〝仕事のことなら聞きたい、話したい〟と思う気持ちに付け込んだ最悪の行為だった。合意があったとは思いません。拒否する言葉があったにも関わらず、半ば強引にことに及んでいました」「私の行動は確信犯だったと思います。これは職務上の地位を利用した行為であり、パワハラと言われても過言ではない。また女性の尊厳を無視した行為であり、セクハラであったと思います」と明確に述べています。被害者の提出した文書や聞き取りを含めて考えたとき、社会が今日到達しているセクハラ・性暴力問題についての基準からみて、「被害者にも責任があった」というのは誤りであることは明らかでした。
二つに、佐藤氏らが「党中央が問題の隠ぺいを強要した」と述べている点ですが、事実は違います。県常任委員会や地区常任委員会は、加害者市議への辞職勧告を決定し、ボーナスの出る前に辞職してもらうとの方針や機関罷免などの処分方針ももちました。同時に、この問題の対応については、被害者に対する『二次被害』を生み出さないことを最優先に位置づけるとの方針をもち、被害者である大里陽子氏から公表を望まないとの意向もだされていました。それでも3名の市議が「2人には合意があった」「機関罷免などと党内処分で済ませるのは納得できない。市民的に隠ぺいでないか。洗いざらい明らかにし、2人とも辞職させるべき」との立場に固執しました。「隠ぺいではなく加害者は党としてきちんと処分する。議員辞職も勧告するのであり、事態をすべて公表すれば、被害者への『二次被害』をつくりだす」と伝えても納得せず、「加害者の辞職を発表するとき、セクハラ問題などの全容を明らかにする」と繰り返し、一致することがありませんでした。こうした話し合いをつづけている途上で、12月2日に3名の市議は離党届を郵送し、機関の説得も聞かずに5日の別会派結成に至ったのが事実経過です。
佐藤氏ら3市議は離党し、別会派立ち上げに至った理由を、「中央委員会の意向で不祥事を事実上〝隠ぺい〟するよう強要されたことにあります」と述べていますが、「隠ぺいを強要した」という事実はないことが明らかです。セクハラ事件を契機に、「この際、二人に議員をやめてもらう」との立場に固執し、それが通らないことから党を飛び出し、別会派をつくり党に大打撃を与え、「除籍」されると公然と党攻撃をはじめたというのが実際です。
佐藤氏は「党が異論を排除」と述べていますが、「被害者議員も辞めさせる」との自分たちの意見を絶対視して機関の意見に耳を貸さなかったというのが事実であり、彼らが、自分たちの意見が受け入れられないからと離党届を送り、別会派をつくる動きが推察されたとき、党機関が離党届の撤回を求めて努力したにもかかわらず強行したのが実際です。党は「異論」でもって「排除」することはありません。党規約は、「決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる。その場合も、その決定を実行する」と、「異論」を認めたうえで、行動の統一を求めています。3人は、この規約を守ることができなかったということです。むしろ、彼らがこのセクハラ問題を利用して被害者議員を排除しようとして通らないことから、党を飛び出したことが今回の問題の本質といえます。
3名の元党市議は、被害女性について「議員としてふさわしくない」と訴えましたが、被害女性は、佐藤氏や斎藤氏らを含めて党の強い要請をうけて、勤めていた職場を退職し、候補者活動を経て議員になりました。入党間もないなかで、党活動や議員活動上の必要な認識を身に着けることは一定の時間が必要です。機関と議員団はともに学びともに成長するという立場で粘り強く努力する責任があります。それは市民に対する責任でもあります。この点で、機関としての援助の不足は深く反省するところですが、しかし、それらを理由にして「議員にふさわしくない」と、辞職を求めることに機関は同意できません。実際に、大里元市議のその後の議員活動は、「二次被害」が広げられたもとでも懸命に市民の暮らし・福祉を守って頑張ってきたのが実際です。
四、今回の問題を通して、県委員会や地区委員会として、性暴力やセクハラ問題などで、今日の世界的な到達点を身につけて対応できる力量をつけるという点でも不十分さがあったことを反省するとともに、同時に、被害者の尊厳が傷つけられた事態はいまでも解決できておらず、被害者の名誉の回復のためにこれまで以上に全力を尽くす決意を申し述べておきます。セクハラ問題、性暴力問題などに際しては、私たち一人一人が被害者の立場に立って考える必要があることを深く胆に銘じていきたいと思います。
「戦争か平和か」の歴史の大きな岐路にあるなか、反戦・平和を貫いてきた党、新しい時代を切り開く党にふさわしい党づくりめざしてみなさんの期待に応えられるよう力をつくしていく決意です。
以上