さいたま市三橋公民館が、俳句サークルの会員が憲法9条を題材に詠んだ俳句を「世論を二分する内容だ」として、公民館だよりに掲載することを拒否した問題で、日本共産党の守谷千津子市議は9日の市議会一般質問で、市の対応を厳しく批判しました。
守谷氏は「世論を二分するものはたくさんあり、それを載せるか載せないか公民館が判断することは恣意(しい)的で、国民の表現の自由に対する侵害だ」と指摘しました。
また、社会教育法第12条が、社会教育関係団体への国や地方公共団体の統制的支配、干渉を禁じていること、市の公民館運営審議会の2013年の答申が、住民の生の声を取り上げることを公民館の広報活動に求めていることを指摘し「社会教育法や答申に反している」と批判しました。
答申で上亟啓介副教育長は、掲載拒否した俳句について「集団的自衛権に関する、世論を二分する内容だと判断した。公民館だよりは公平・中立であるべきだと考えた」と説明。法令などとは「関係ない」と強弁しました。
守谷氏は、公民館の判断を「おおむね適正」と述べた清水勇人市長に対し「憲法を順守する立場の首長が文芸作品への政治介入を認めたことは重大だ」と指摘し、答弁を求めました。しかし、市長は答弁に立たず、稲葉康久教育長が「教育委員会の立場を説明していく」と述べるにとどまりました。
守谷氏は「不掲載は公民館と教育委員会が根拠のない理由で暴走した問題。掲載拒否を撤回すべきだ」と迫りました。
多くの市民が傍聴し、同市北区の女性(73)は「市の対応は憲法を変えようとする動きに追随するもの。市長は答弁してほしかった」と話しました。(赤旗2014年9月10日付より)