埼玉県所沢市で14日、周産期医療(胎児・新生児・母体の医療)体制について考える「母と子の命守るシンポジウム」(主催・同実行委員会)が開かれ、約80人が参加しました。
国立病院機構西埼玉中央病院の成宮学院長、産婦人科医の今井加納子氏、県医療整備課の黒澤努主幹が発言し、日本共産党の柳下礼子県議がコーディネーターを務めました。
医師不足が全国的に問題になる中、西埼玉中央病院では小児科医や産科医など相次ぐ退職で、一時、出産を扱えない状況に追い込まれました。地域周産期母子医療センターの機能も休止した状態です。成宮院長は、医師が集まってくるようトップレベルの医師を迎え入れ、チーム医療に力を入れるなどの努力を語りました。また、出産後の母親を支援する「産後入院」の充実を訴えました。
今井医師は、ハイリスク出産の増加で障害児が生まれる可能性が高まる一方で、肢体不自由児などの受け入れ体制は不十分だと指摘し、自らデイケア施設を設立する準備をしていると語りました。
黒澤氏は、NICU(新生児集中治療室)を増床するなど県の対策を紹介しました。
ハイリスク出産を経験した母親らが参加し「NICUはどこかにあればいいのではなく、近くに必要です」「NICU退院後、親は子どもの看護に疲れ切ってしまう。医療と福祉はもっと手をつないでほしい」などと訴えました。
柳下氏は「西埼玉中央病院で地域周産期母子医療センターを早期に再開するためには医師の安定確保が必要です」と語り、対策として県内に公立の大学医学部を設置することや医学生の奨学金の拡充、女性医師が働きやすい環境の整備などを提起し「埼玉の地域医療の魅力を向上させることが求められています」と語りました。(赤旗2014年9月20日付より)