入間基地 海外出動の拠点化 埼玉県平和委員会代表理事 平山武久さんに聞く

戦争法のもとでの航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市、入間市)の拡張に対して、20日午後1時から、「安保法制の発動許すな! 入間基地拡張ストップ! 緑の森を守ろう! 11.20埼玉県民集会」が入間市の彩の森入間公園で開かれます。入間基地拡張の危険性と集会の意義について、県平和委員会代表理事の平山武久さんに聞きました。(埼玉県・藤中陽美)

戦争法発動へ自衛隊病院と新型輸送機

入間基地に隣接する旧ジョンソン基地跡の入間市東町側保留地には、自衛隊病院と災害対策拠点の設置が計画されています。どちらも戦争法発動にそなえた基地機能の強化です。

傷病隊員を搬送

防衛省は、同保留地に自衛隊病院を設置する目的について、傷病隊員を迅速に搬送できることから、飛行場の隣接地に、自衛隊医療の拠点化・機能強化の一環として整備するためだとしています。戦争法の発動によって、自衛隊員が、防衛とは無関係の海外での戦争で殺し殺されることを想定した医療体制づくりです。

自衛隊病院は、有事の際に傷病隊員を治療する「後送病院」の役割を担います。「防衛省・自衛隊の第一線における的確な救命に関する検討会」の資料によると、第一線で負傷した隊員は現場で手当てをされ、重症度に応じて、野外病院や、入間病院などの自衛隊地区病院、自衛隊中央病院に「搬送」されます。

防衛大綱は自衛隊量の役割について、「自衛隊隊員の壮健(体が丈夫で元気なこと)性を維持」し、各種任務への対応能力を強化することとしています。負傷隊員を治療したらすぐに第一線に戻し、「戦力を維持」することが自衛隊医療の本質です。市民・国民の命を守り、健康を維持する一般医療とはまったく異質です。

一方、災害対処拠点は、大規模災害時の出動拠点と位置づけられていますが、平時は訓練などで使用され、自衛隊病院とともに入間基地の一部となります。基地拡張であることは明らかです。

さらに、防衛省は、基地の機能強化・拡張計画の一環として、入間基地への新型輸送機C2を配備することを2017年度の概算要求で明記しました。

現在入間基地に配備されているC1は、国内輸送用としてつくられまし。そのC1に比べて、C2は全長が1.5倍の約44㍍と大きく、航空距離は3.8倍の約6500㌖、搭載貨物量は3.7倍の約30㌧であり、搭載可能な装備品もC1よりもはるかに多くなっています。C2配備に伴い、入間基地では燃料施設なども今までよりも大規模なものに建て替える計画が進んでいます。

防衛省はC2導入による効果について、「自衛隊が国際平和協力などに主体的・積極的に取り組むためにの体制整備」などに役立つと明記しています。C2が配備されるということは、入間基地が自衛隊の海外出動の重要拠点になるということです。

市民に説明なし

これらの計画が市民に十分な説明もなく進められています。

入間基地が海外で戦争するための拠点になることは、入間市や基地周辺自治体の住民だけでなく、埼玉県民の願いに反します。20日の県民集会が、この問題の危険性を県民に広く知らせ、平和を願う県民の声を大きく結集する場になることを期待しています。

(「しんぶん赤旗」11月11日付より)