●国保税最大7割増 埼玉県が試算 広域化で標準保険税率適用

平均でも3割増

国民健康保険の広域化で住民負担が増える─。2018年度の国民健康保険(国保)の都道府県化(広域化)に向けて昨年12月に開かれた、第1回埼玉県国保運営協議会(会長・伊藤義典県立大学教授)で県が試算を示しました。統一した算定方法による標準保険税率を適用した場、市町村によっては保険税率が最大7割増になるとしました。

都道府県と運営

現在の国保の運営主体は市町村ですが、法改正により18年度から都道府県と市町村の共同運営になります。都道府県は統一的な運営方針や市町村ごとの標準保険税(料)率の算定・公表などを行います。

市町村は、国保証交付や国保税徴収など従来の業務を担い、独自の税率設定なども行えますが、地道府県が示す運営方針や標準税率の影響を大きく受けることになります。

運営協議会に示された試算は、市町村が県に納める事業費納付金(現制度の拠出金)と、標準税率を当てはめた場合の1人当たり国保税額です。

国保税額は、市町村平均で31%増となり、増加分が大きい上位自治体では65~77%増、下位自治体でも05~10%増と負担が増えます。

標準税率について県は、「国保会計が赤字にならないよう設定されたもの」と説明し、市町村が行っている国保会計への一般会計からの法定外繰り入れが多い市町村ほど国保税の増額分が大きくなっています。

県が提案した運営方針骨子案では、「当面、統一の保険税水準としない」としていますが、「将来のめざすべき課題」としています。繰り入れについて県は「市町村の判断」としつつ「赤字(繰り入れ)を解消していきたい」と、削減を迫る姿勢を示しました。

繰入れ増額を

県社会保障推進協議会の川嶋芳男事務局長は「繰り入れは高すぎる国保税を抑え、自民の健康と命を守る役割を持っています。その積極的な意義を認めず、削減するなどとんでもありません。国保の都道府県化は、医療費給付の抑制や国保税引き上げ、税徴収の強化を市町村に押し付けるものでやめるべきです。社保協は『誰もが支払える国保税』を求めており、そのためには、国保への国庫負担増額とともに繰り入れの増額も必要です」と話しています。

(「しんぶん赤旗」1月7日付より)