コメの高温障害 紙参院議員が実態調査

猛暑の影響でコメの品質が落ちる高温障害が埼玉県内で広がっています。日本共産党の紙智子参院議員は10月6日、埼玉県加須市のコメ農家を埼玉県農民連の松本慎一事務局長とともに訪問。農家から「等級外で買いたたかれる」「高温障害に強い品種に切り替えなければ」など不安の声があがりました。大野たつお衆院埼玉12区候補、柳下礼子県議、及川和子市議、松本英子市議が同行しました。

農家の男性から実態をきく紙議員ら=10月6日、加須市

高温障害は、出穂後20日間の平均気温が27度以上で起こるとされます。コメ粒が白濁する白未熟粒が発生し、買い取り価格が下落。コメ農家の収入に打撃を与えます。

問題となっているのは県が県内農家に作付けを推奨してきた「彩のかがやき」です(2002年に品種登録)。今年産のコメの検査(5日現在、全農埼玉県本部)で「彩のかがやき」(検査進ちょく率3.1%)の規格外は49.7%、1等の割合は0.3%となっています。

2010年の猛暑の際、同品種を中心とする高温障害は県内34市町で推定被害面積8467ヘクタール、推定被害農家戸数1万4268戸に及びました。同年の「彩のかがやき」は約80%が規格外米となり、1等米の半値以下で売買されるケースも。埼玉県農民連は「暑さに弱い品種だ」と指摘し、県に対策を求めていました。

“価格の下落心配” 農家不安の声

紙議員が最初に訪れた農家の男性は、コメ粒を袋からすくい「検査で今年のは等級外と言われた。買いたたかれるから出荷先に困る」と肩を落とします。

大規模農家の塚田静男さん(64)は「近年、温度が高いですよね。うちのは2等米が多いんでないかい。コシヒカリは全部1等になった。来年は『彩のかがやき』は作らない」と断言します。農家からは来年の作付けを暑さに強い品種に切り替えるとの声が相次ぎました。

農林水産省は高温障害回避へ、実の発育・成熟期に十分な水の確保を指摘し、農業水利施設の建設・管理をする土地改良区、市町村、地方農政事務所の協力推進体制の整備を呼びかけています。

県の高温障害対策も「水と肥料を十分に与える」と示されているものの、農家が求める農業用水が確保されない問題も出されました。

農家の訴えに紙議員は「現場の農家の実態を県に見てもらい、対策をとることが必要です」と応えました。6日に加須市で開いた農業シンポでも「農家は台風や猛暑、霜など毎年ちがう状況を乗り越えて収穫に至るまでたいへんな努力をしていることを実感しました」と、価格補償に所得保障を加えた党の農業経営安定のための政策を紹介しました。

シンポジウムで発言する紙議員=10月6日、加須市