考える集会
埼玉県平和資料館(東松山市)について考える集会が18日、さいたま市内で開かれました。市民団体「埼玉県平和資料館の充実・発展を求める県民アピールの会」の主催。同館リニューアルめぐっては、県民の意見を取り入れようとしない県の姿勢が批判されています。
集会では、埼玉と同じくリニューアルが問題になっているピースおおさか(大阪国際平和センター)について、大阪市立大学人権問題研究センター研究員の上杉聰氏が講演。ピースおおさかは、大阪空襲を学ぶことを中心に幅広い市民・団体の協力で1991年に設立されましたが、旧日本軍の加害展示の縮小などが狙われています。上杉氏は、日本の中国空襲など加害の事実を示さなければ、大阪空襲が行われた背景も分からないと指摘しました。
県平和資料館の元運営協議会委員の杉田明宏・大東文化大学准教授が、同館リニューアルの問題点を報告。「昭和史年表」の項目が3分の1に削減され、県の出来事すら削ったことを批判し、「戦争の実相、加害の事実を隠そうとするものだ」と指摘。「資料館を実際に見て、声をあげ是正させよう」と語りました。
参加者は「学びたいという県民の願いに応える平和資料館に充実・発展を」と求めた集会声明を採択しました。
20日オープン
開館20周年の埼玉県平和資料館(東松山市)が20日、リニューアルオープンしました。
主な変更点は、「埼玉ピースミュージアム」という愛称を新たに定め、入場料を無料にしました。展示では、エントランスに大きな壁画を設置し、映像設備の改善や常設展示の一部変更を行いました。平和授業での子どもの感想文をパネルで展示しています。
県は「若い世代への戦争の記憶の継承」「平和の創造」を主眼に改装を行ったと説明しています。「平和の創造」では自衛隊のPKO活動なども取り上げています。
廊下の「昭和史年表」は全面的に書きかえられ、中学校の歴史教科書7社のうち4社以上が取り上げている事項を記述することにしたため、項目が以前の3分の1に減り、「南京大虐殺」「『慰安婦』問題」などの記述や、「秩父事件」「熊谷空襲」など埼玉県に関する事件の記述もなくなっています。(赤旗2013年10月22日付より)