埼玉県が重度心身障害者に対する医療費助成制度について、来年からの年齢制限や所得制限を導入しようとしていることが25日までに分かりました。日本共産党県委員会が入手した資料で判明したものです。制度変更は2月12日に発表される県の当初予算案に反映される可能性があります。
同制度は、身体障害者手帳1~3級、知的障害者の療育手帳Ⓐ 、A、B、後期高齢者医療で障害認定を受けている人を対象に医療費の自己負担分を助成し、無料にするものです。負担額の約半分を県、残りを市町村が担っています。
共産党が入手したのは、制度変更について市町村の意見を求めた県の文書です。それによると、2015年1月から、65歳以上で新規に手帳を取得した人、本人所得が約360万円以上の人を対象から外します。対象外になると医療費の自己負担が生じます。
一方で精神障害者(1級のみ)を新たに助成対象にするとしています。
制度導入の目的は助成額の増大を押さえることだとし、65歳で線引きする理由を「一定の資産形成がなされている」などとし、「加齢に伴って生じる障害は(障害者福祉の施策ではなく)高齢者福祉の中で対応すべき」だとしています。
県国保医療課は本紙に「検討の段階だ」と答えました。
「障害者の生活と権利を守る埼玉県民連絡協議会」(障埼連)の国松公造副会長は「障害者は、さまざまな診療科を受診しなければならないなど医療を量的に保障する必要がある」として、計画断念を求めて運動を始めると表明しました。
日本共産党の柳下礼子県議は「これから高齢の障害者が増えていくなかで、年齢で障害者を切り捨てるような制度改悪は許せない」と話しています。(赤旗2014年1月26日付より)