「慰安婦」問題 新談話迫る意見書/埼玉県議会 自民と右派が強行

事実無根 共産党が抗議

奥田智子県議

奥田智子県議

埼玉県議会は10日、日本軍「慰安婦」問題で新たな政府談話を出すことなどを求める「『慰安婦問題』に関する適切な対応を求める意見書」を自民党と右派会派「刷新の会」の賛成で可決しました。日本共産党、民主党、公明党、社民党などは反対しました。

意見書は、朝日新聞が「吉田証言」を取り消したことを理由に「強制連行の根拠が崩れた」と断じ、「正しい歴史認識」の広報推進や教科書への記述、新談話の発表などを国に求めています。

共産党の奥田智子県議が討論に立ち、「『河野談話』はもともと『吉田証言』を根拠にしておらず、『吉田証言』が崩れたから『河野談話』の根拠がなくなったなどという議論は成り立ち得ない」と指摘。「安倍首相自身が『河野談話』を継承すると表明しており、新たな政府談話は全く必要ない」と強調しました。その上で「政府に求めるべきことは、過去に日本軍が行った行為を心から反省し、悲惨きわまる体験を強制された『慰安婦』のみなさんに償うことだ」と主張しました。

刷新の会の鈴木正人県議が討論しましたが、奥田氏の指摘には答えず「朝日の記事によって『河野談話』に発展した」などと述べるにとどまりました。

閉会後、共産党の柳下礼子団長は、意見書の可決強行に抗議する声明を発表しました。

約50人の傍聴者が討論の様子を見つめ、可決後、新日本婦人の会県本部、県平和委員会、埼労連、母親大会連絡会は自民党と刷新の会に対し、抗議の申し入れを行いました。(赤旗2014年10月11日付より)