【所沢市】学校エアコン設置 15日に住民投票/市長の独断中止に怒り 基地騒音対策 市民ら直接請求

埼玉県所沢市で、航空自衛隊入間基地(狭山市、入間市)の騒音対策が施されている市内の28小中学校の防音校舎にエアコンを設置することについて、是非を問う住民投票が15日、行われます。エアコン設置が決まっていた学校の設置工事を独断で中止した現市長に対し、「住民投票で市政を動かそう」と市民が立ち上がりました。(埼玉県・藤中陽美)

 

住民投票条例は、市民らが有権者の50分の1を大きく上回る8430人分の署名を集めて直接請求し、2014年12月の市議会で全会一致で可決されました。

同市では、入間基地に近い小中学校から順にエアコン設置を進める計画でした。09年には宮前小学校への設置工事が完了し、隣接する狭山ヶ丘中学校は10年に設計を完了していました。

ところが、11年10月に就任した藤本正人市長は、猛暑対策について「扇風機で十分」などと発言し、12年に国の補助金を辞退して計画を中止。これに対し、計画実施を求める署名が1万6000人分以上集まるなどの住民運動が起こり、市議会でもエアコン設置を求める請願や決議が採択・可決されました。しかし、市長は態度を変えませんでした。

藤本市長は、市報で設置中止について、東日本大震災・福島第1原発事故をうけて「『快適で便利な生活』を見直すべきだ」などと述べています。

 

連日の宣伝

狭山ヶ丘中卒業生の男子高校生(18)は「教室は窓を閉めるととても暑いし、英語のリスニングのテストでは2回流しても飛行機の音にかき消されてしまった。設計まで終わっていたのに突然エアコンを付ける計画を中止するなんて、怒りを感じた」と話します。

この問題で署名運動や集会などを開いてきた「所沢市の教育環境を考える会」の持丸邦子代表は「子どもたちは、暑くてうるさいという環境での学習を強いられている。ちゃんとした環境で勉強するために、エアコンは必要です」と強調します。

住民投票が実施されることをうけて、結成された「住民投票を成功させる会」は「教育環境を考える会」と協力しながら連日宣伝などに取り組み、「子どもたちの学習環境改善のため、住民投票で賛成に○を」と呼びかけています。市川治彦代表は「市民は市長が独断で計画を中止したことに怒っている。住民本位の市政にしていくためにも、住民投票を成功させたい」と語ります。

 

予算は黒字

藤本市長は1日に行った「市政トーク」で「防音校舎にエアコンを入れれば、他の学校にも入れてくれという話しになり、そうすると所沢市の財政は破たんする」と発言。住民投票について訴えるビラでは「クーラーをいれれば、福祉も教育も環境も…その分サービスをやめねばなりません」などと宣伝しています。

日本共産党の平井明美市議団長は、所沢市の一般会計予算は918億円(14年度)で毎年黒字であり、リース方式であれば全小中学校へエアコンを設置しても20億円、10年リースなら年間2億円で可能だと指摘。「住民投票で市民が防音校舎へのエアコン設置の判断を下せば、すべての小中学校でのエアコン設置に向けた大きな一歩となります」(赤旗2015年2月5日付より)