【川島町】新庁舎建設計画の是非問う 住民投票条例案が否決

埼玉県川島町議会(定数14)は19日、町役場の新庁舎建設計画の是非を問う住民投票条例案を、日本共産党と無所属議員2人以外の反対多数で否決しました。

条例案は、住民団体「川島町の将来を考える会」が有権者の約3割の署名を集め、直接請求したことによるもの。議案提出にあたり高田康男町長が条例案の不備を指摘したことに対し、条例案に賛成の2議員が修正案を動議で提出しましたが、こちらも否決されました。

採決に先立つ本会議討論で、日本共産党の栗岩輝治議員は「町民は庁舎建設に反対なのではなく、計画を見直してほしいと願っている。住民投票で町民の意思をはっきりさせるべきだ」と可決を主張しました。傍聴席に入りきらないほどの町民が採決を見守り、閉会後、議場を出る町長や反対議員に怒声が投げつけられました。

「考える会」の岡部巌代表は「町長の姿勢は自らが掲げる『対話する町政』に反し、町長が条例案に反対の意見を付けたことに憤りを感じる。町長リコールも考えたい」と話しました。

高田町長は「情報発信や経費節約に努める」と述べ、建設計画を進める考えを示しました。(赤旗2014年5月20日付より)

埼玉・川島町 新庁舎ムダ設計26億円に増 住民投票条例 有権者3割署名

埼玉県川島町の町役場庁舎の建て替え計画をめぐり、「住民の声を聞いていない」として、町民が設計の見直しを求めています。15日には、計画の是非を問う住民投票条例の制定を求め、有権者の3割にあたる5305人分の署名を町選管に提出しました。(埼玉県・川嶋猛)

新庁舎問題を話し合う町民と(左から)岡部会代表、道祖土、栗岩両町議=2014年2月、川島町

新庁舎問題を話し合う町民と(左から)岡部会代表、道祖土、栗岩両町議=2014年2月、川島町

現庁舎は築58年と古く、耐震性の不足などの問題が生じています。建て替えは10年以上前から検討されており、当初は「建設基金8億円の範囲内で」と議論していました。しかし、町は2012年11月には建設費約22億円の基本計画案を、今年1月には、さらに約4億円アップした建設費25億7900万円の基本設計を町民に示しました。

基本設計では、新庁舎は2階建てで、中央部の待合スペースは吹き抜けになっており、外壁は曲面になっています。着工は6月ころとしています。

計画是非問う

日本共産党の栗岩輝治町議は、計画案の段階から「新庁舎は必要最小限にすべきだ」と議会で論戦し、ビラで町民に問題を知らせてきました。他市の状況なども調査し、吹き抜けや曲面の壁をなくすことなどで、建設費を15%削減できると提案してきました。

町民は1月、「川島町の将来を考える会」を結成。栗岩町議と無所属の道祖土証(さいど・いさむ)町議も参加しました。会は2月に「町民のつどい」を開き、新庁舎問題を話し合いました。参加した120人の町民からは「待合室は広くなくてもいい」「曲線構造は不要」など計画への疑問が相次ぎました。

会は、3月議会に見直しを求める約2400人分の請願署名を提出。町議14人のうち栗岩、道祖土両氏以外の反対で請願は不採択になったものの、会は、ただちに住民投票条例請求の署名に取り組みました。

栗岩氏は「署名は1カ月の短期間に多くの町民が自発的に取り組み、予想を超える数になりました。3割の有権者の意思を町長も議員も無視できないはずです。ほとんどの町民は新庁舎の具体的な計画を1月に初めて知りました。本来、町が住民に信を問うべきだったのに、お手盛りの検討委員会で計画を進めたことが問題を大きくし、町民を動かしました」と語ります。

町民の声聞け

会の岡部巌代表(73)は「検討の過程で町民の声を聞く機会は少なく、議会でも請願は不採択になり、町民の声は無視されました。住民投票条例請求の署名は、何としても住民の声を聞く機会をつくろうと取り組んだもので、署名数は、町議選で当選した議員の得票の半分を目標にし、それを超えました。議員は真剣に受け止めるべきです」と話しています。

条例は、署名の審査や縦覧を経て、町長に本請求し、議会で可決されると住民投票が実施されます。(赤旗2014年5月1日付より)