生活保護引き下げは違憲 さいたま地裁で口頭弁論

生活保護基準の引き上げは憲法違反だとして、埼玉県内に住む生活保護受給者らが国を相手取り、引き下げの取り消しを求めた裁判の第3回口頭弁論が22日、さいたま地裁でありました。

裁判には156人の傍聴希望者が詰めかけ、裁判後に生活保護基準引き下げ反対埼玉連絡会が開いた報告集会には、220人が参加しました。

集会では、裁判で、厚生労働省が生活扶助費の決定にあたりデータや算定手法の恣意(しい)的な選択を行ったとして、裁量権を逸脱しており違憲だと主張したことが報告されました。

中山福二原告弁護団長は「裁判所も歴史的に大事な裁判だと認識しています。みなさんの声を結集して、勝利するために頑張りましょう」と呼びかけました。

集会で訴えた原告の真田星子さん(68)=新座市=は、連日の暑さのなか、水光熱費はあまり削れず、食費を削っています。集会後、真田さんは「それでも電気代を気にしてエアコンはあまり使えず、人付き合いなどいろいろなことをあきらめている。あきらめたくないと思うから、頑張りたい」と、裁判への意気込みを語りました。

(しんぶん赤旗2015年7月25日付より)

埼玉県知事選告示 8月9日投票/“戦争法案反対”託せる知事を 浦和駅前 柴田候補第一声に声援

23日告示(8月9日投票)された埼玉県知事選。さいたま市のJR浦和駅東口で行われた「民主県政の会」の柴田やすひこ候補(62)の第一声には、駅前をいっぱいにする聴衆が集まり、「戦争法案が一番の争点だ」との訴えに「そうだ」「頑張れ」などの声援と拍手が送られました。

声援に応える柴田候補(右)と梅村衆院議員=2015年7月23日、さいたま市

声援に応える柴田候補(右)と梅村衆院議員=2015年7月23日、さいたま市

柴田氏は「『戦争法案ノー』の全国の思いがかかった選挙だ」と訴え、必勝の決意を語りました。

応援のマイクを握った元済生会栗橋病院院長補佐の本田宏医師は「戦争法案が通ったら確実に医療費や教育予算は削られる」と語り、同じく応援に立った青年や子育て中の母親からも「戦争法案に反対できない知事は失格」「平和の願いを託せるのは柴田さんだけ」と、柴田候補への期待を述べました。

応援に駆けつけた日本共産党の梅村さえこ衆院議員は「戦後70年、平和を守る声を広げていくためにも、必ず柴田さんを当選させましょう」と訴えました。志位和夫委員長の「柴田やすひこ候補とともに戦争法案を断じて許さない県民の声を大きく広げよう」とのメッセージが紹介されました。

共産党県議団の5人全員が柴田氏と並んで立ち、柳下礼子団長があいさつしました。

 

戦争法案言及なし
現職の上田氏 自民の塚田氏

埼玉県知事選で、現職の上田清司候補(67)と、自民党県連推薦の塚田佳祐候補(58)は23日の告示日第一声で、戦争法案について一言も言及しませんでした。

浦和駅西口で第一声をあげた上田氏は、圏央道の整備など大型開発の推進に意欲を表明。医療費無料化の対象年齢が近隣都県よりも低い現状があるにもかかわらず、「何でもかんでも病院に行かないようにしたい」と述べ、受診抑制を強める診療体制の見直しを主張しました。

憲法9条の書き換えを持論とする上田氏ですが、安倍自公政権が成立に固執する憲法違反の戦争法案については一言も触れませんでした。

大宮駅東口で第一声をあげた塚田氏は、県の有効求人倍率や医師数が全国最下位まで転落したことを取り上げて、上田知事批判を展開する一方、県政与党として上田県政を支えてきた責任は不問に付しました。

(しんぶん赤旗2015年7月24日付より)

戦争法案ノーを埼玉から/知事選告示 柴田候補が訴え

第一声をあげる柴田候補=2015年7月23日、さいたま市

第一声をあげる柴田候補=2015年7月23日、さいたま市

埼玉県知事選が23日告示(8月9日投票)され、「民主県政の会」代表で県労働組合連合会議長の柴田やすひこ氏(62)=無所属新・日本共産党推薦=が立候補しました。

知事選は現新5人が立候補。事実上、柴田氏と、4選をねらう上田清司氏(67)=無所属現=、元総務省官僚の塚田佳祐氏(58)=無所属新・自民党県連推薦=の有力3氏による争いです。

柴田氏は「一番の争点は戦争法案だ。埼玉から戦争法案を廃案に追いこむ」と強調。日本の侵略戦争の誤りを認めない上田知事は安倍首相と根が同じだと指摘し「世界の常識からかけ離れた、偏った歴史観の教育現場への押しつけを許さないためにも、私を知事に押し上げてほしい」と呼びかけました。

日本共産党の梅村さえこ衆院議員が応援に駆けつけ必勝を訴えました。

志位和夫委員長がメッセージを寄せました。

(しんぶん赤旗2015年7月24日付より)

知事提出議案13件可決/埼玉県議会が閉会

埼玉県議会定例会は10日、知事提出議案14件のうち13件を可決して閉会しました。

日本共産党の前原かづえ県議が討論に立ち、マイナンバー法関連条例案や、法人事業税の外形標準課税を引き上げる県税条例改定案などに反対しました。

金子正江県議は、米軍横田基地へのCV22オスプレイ配備通告を受け、県の基地対策行政の拡充を求める請願を採択するよう主張しましたが、自民、公明などの反対で不採択になりました。

「戦争法案」の廃案を求める請願に共産党は賛成しましたが、他会派が反対したため不採択となりました。

本会議で自民党は、「多選自粛条例」を上田清司知事が破ったことに対する問責決議案を動議で提出し、自民党だけの賛成で可決しました。

共産党の柳下礼子県議は反対討論で「成立時から拘束力のないパフォーマンス条例であることは明白で、その条例制定に賛成した会派も非難をまぬかれない。条例を覆したから責任を問うというのは知事の出馬を望まない(自民党の)党利党略だ」と指摘。福祉・医療の大幅後退やダム事業などの上田県政の12年間を批判し「責任を問うなら県民の願いに背を向けた知事の姿勢に対してではないか」と訴えました。

(しんぶん赤旗2015年7月23日付より)

23日告示 埼玉知事選の争点(下)/苦しい県民の暮らし 柴田氏“福祉向上の使命取り戻す”

埼玉県知事選(23日告示・8月9日投票)は、県民の暮らしを県政がどう支えるかが問われます。県が実施する県政世論調査では「昨年より暮らしが苦しくなった」との回答がこの5年、4割台で推移。その理由に、税金や保険料の負担増、物価上昇をあげる割合が増えています。

「民主県政の会」の柴田やすひこ氏=日本共産党推薦=は「国の悪政の防波堤になり、県民や市町村を応援する県政へ」「住民の福祉向上という自治体本来の使命を取り戻す」と強調。子ども医療費無料化を中学卒業まで拡大することをはじめ、国民健康保険税や介護保険料の負担軽減など「暮らし・福祉重視の県政」を訴えています。

一方、上田清司知事は福祉政策を次々と縮小・廃止し、県民の願いに逆行してきました。

 

弱者には冷たく

有権者と握手する柴田やすひこ候補

有権者と握手する柴田やすひこ候補

県は今年1月、重度心身障害者の医療費無料化制度について、65歳以上で重度障害者になった人は除外する改悪を実行。「年齢で差別するな」「高齢者の厳しい生活実態をみていない」との障害者の悲痛な声にも耳を貸しませんでした。

ほかにも幼稚園父母負担軽減補助金廃止(2012年)、定時制高校の給食費補助・教科書代支給制度廃止(09年)など、冷たく切り捨ててきました。

市町村は、福祉や医療、教育などの住民要求に応えるため、県の制度を超えた施策を実施しています。県政には市町村の努力を応援する姿勢も求められています。

 

子ども医療費は

代表的なものが子ども医療費無料化制度です。県の制度は小学校入学前までですが、県内すべての市町村で中学卒業まで(一部は高校卒業まで)対象にしています。

東京都や群馬県が中学卒業までにするなど県段階での制度拡大が広がっていますが、入院・通院費とも小学校入学前にとどまっているのは近隣都県で埼玉だけです。

新日本婦人の会県本部の高田美恵子副会長は「県が中学卒業までに拡大すれば市町村はほかの施策を拡充させることができます。他県でできているのに財政力のある埼玉にできないはずがありません。少子化対策というのなら、幼稚園父母負担軽減補助金の復活など、もっと子どもにお金をかけるべきです」と話します。

4選をねらう上田氏の公約には、これまでと同様、県民の暮らしを直接温める施策を見られません。一方、自民党推薦の塚田佳祐氏も上田氏と基本的な違いはありません。(おわり)

(しんぶん赤旗2015年7月22日付より)