「石綿材使用を」と指示 教諭急死 元市建築課長が証言/さいたま地裁

埼玉県戸田市立小学校の教諭だった四條昇さん=当時(54)=が、2007年に、がんの一種の中皮腫を発症して急死したのは、校舎のアスベスト含有建材が原因だったとして、公務災害の認定を求めた裁判の口頭弁論が17日、さいたま地裁で開かれました。

弁論では、四條さんが勤務していた1980年代の小学校の様子を知る元教諭や児童、市職員らの証人尋問を行いました。

元教諭や児童は、当時、アスベストが使われていたと原告が主張する階段裏天井はボロボロで、手で表面をはがせる状態だったと証言。日本共産党の元市議は地域政治新聞「民主戸田」の1987年の号に同小でアスベスト除去工事が行われる予定であるとする記事を、元市教職員組合の役員は、同年の組合機関紙に「除去工事が行われた」とする記事を、いずれも市教委の回答を得て掲載したと証言し、同小にアスベストが存在していたと述べました。

元市建築課課長は、昭和50年代に市の建築設計で、アスベストを含む吹きつけ材の使用を積極的に支持していたと明かしました。

昇さんの妻、延子さん(63)も証言に立ち、「アスベストが最愛の人の命を奪う危険なものだと知ってほしい。裁判が被害を防ぐきっかけになってほしい」と訴えました。

(しんぶん赤旗2016年2月21日付より)