【さいたま市】「九条俳句」掲載拒否問題 公民館運営で提言

第7期さいたま市公民館運営審議会(安藤聡彦委員長)は、29日開かれた定例会議で、2年間の任期が終了するにあたり、とりまとめた提言を承認しました。

審議会は、昨年7月に起きた、大宮区の三橋公民館が「公民館だより」に同館俳句サークル会員が詠んだ「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の句を掲載することを拒否した問題について、議論を重ねてきました。

議論をふまえ、提言は、①公民館の目的の再確認を絶えず行うこと②公民館活動への市民の参加をさらに拡充すること③市民に親しまれる公民館だよりの編集体制を整えること④市民の信頼と期待に応える職員体制づくりをすること―の必要性を指摘。「この機会にさいたま市の公民館が『市民の<声>が生きる公民館』として再生するために何が必要であるのかを、市民と行政双方が熟考し、実践されることを心から願いたい」としています。

提言の承認をうけて、委員らは「この提言をしっかりと現場に伝えてほしい」と、会議に出席した市生涯学習総合センター職員、各公民館長らに求めました。

(しんぶん赤旗2015年9月30日付より)

表現への不当な干渉/「九条俳句訴訟」原告が陳述

昨年6月、さいたま市の公民館から「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の俳句の公民館だよりへの掲載を拒否された俳句サークル会員の女性(74)が、掲載を求め市を提訴した裁判の第1回口頭弁論が25日、さいたま地裁で開かれました。

意見陳述で女性は俳句について、東京で出会ったデモが「憲法9条守れ、平和を守れ」という自分の思いを重なり、感動して詠んだ句だと述べました。会でも特選を得たその句が「世論を二分する内容だ」と公民館が拒否したことを、「公民館が立ち入る権限はないはず」と批判。「自由にものが言え、自由に表現ができ、当たり前のことが当たり前に出来るよう、民主主義を後退させないように(求めます)」と語りました。

弁護団は、公民館は俳句の内容を見て掲載を拒否したと述べ、憲法学者から「事実上の検閲」と批判されていると指摘。全国で「政治的中立」を口実に行政が公共施設での表現や活動に干渉する事例が相次いでいるとして、この裁判で行政の不当な干渉に違法の判断を下すことが重要だと主張しました。

多くの市民や学者・文化人が応援に駆けつけ、俳人の金子兜太(とうた)さんは、ひとりの女性の素直な俳句の政治性を問題にすることに「驚きあきれ…危険を覚えている」とメッセージを寄せました。

(しんぶん赤旗2015年9月27日付より)

「9条俳句」作者が提訴 さいたま市を広報掲載拒否で

“不当な統制で民主主義危機”

さいたま市大宮区の三橋公民館が昨年6月、「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ同館俳句サークル会員の俳句を「公民館だより」に掲載することを拒否した問題で、作者の女性(74)が25日、公民館を管理する市を相手取り、「たより」への俳句掲載などを求めて、さいたま地裁に提訴しました。

訴状によると、館側の提案で2010年11月の「たより」から、句会が選んだ俳句をそのまま載せるようになりましたが、14年6月に選んだ「梅雨空に~」の俳句を、同館は「世論を二分するテーマは載せられない」と拒否。今でも不掲載の姿勢をとり続けています。

訴えでは、同館の行為は、表現の自由を保障した憲法21条や、学習を受ける権利を保障した同26条、公権力による教育の不当な支配を禁じた教育基本法、社会教育法などに違反していると指摘。「住民に開かれた公民館で不当な統制・干渉が行われた点で、民主主義の根幹を揺るがす事件だ」としています。

記者会見で、女性は「公民館が俳句の中身にまで立ち入って、ダメだというのは許せないと思ってきました。国の政治が危険な方向に進んでいる実感があり、小さなことでも声を上げるべきだと提訴を決意しました」と語りました。

(しんぶん赤旗2015年6月26日付より)

【さいたま市】民主主義と公民館考える/「九条俳句」問題で市民の集い

永田氏の講演を聞く参加者ら=2015年6月10日、さいたま市

永田氏の講演を聞く参加者ら=2015年6月10日、さいたま市

表現の自由や公民館のあり方を考える市民の集いが10日、さいたま市内で開かれ、約100人が参加しました。

同市の公民館で昨年6月、俳句サークル会員が互選した「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の俳句が公民館だよりへの掲載を拒否された問題がテーマ。

元NHKプロデューサーの永田浩三・武蔵大学教授が講演して、戦後の民主主義を育ててきた公民館の役割を語りました。

「九条俳句」問題では、市民の発表を後押しする立場の公民館が、逆に制限する側になったと批判し、「公的なものが表現者を守らなくてどうするのか。社会の因習や弾圧から民主主義や理想を守るのが公的機関の役割」と指摘しました。

集会では、東京都国分寺市や埼玉県新座市などで、憲法9条や日本軍「慰安婦」問題、原発ゼロをテーマにした展示が行政や議会の介入で不許可にされた実態が報告されました。さいたま市は「九条俳句」問題で不掲載の姿勢を崩しておらず、参加者は、運動をさらに大きくしていくことを確認しました。

(しんぶん赤旗2015年6月12日付より)

【さいたま市】9条俳句掲載拒否 再発防ぐ仕組み必要

市の公民館運営審

さいたま市公民館運営審議会(安藤聡彦委員長)の定例会議が24日開かれました。大宮区の三橋公民館で、「9条守れ」と訴えるデモを詠んだ俳句が「公民館だより」への掲載を拒否された問題が議論されました。

安藤委員長は公民館運営の現状と課題についての提言を出すにあたり、前回会議で出た意見などをまとめた中間報告書を市教育委員会と生涯学習総合センターに提出したことを報告。

提言のテーマについて委員から、「審議会として、三橋公民館のような問題が二度と起こらないような仕組みを考えた方がいい。地域住民の信頼と期待に応える職員体制の充実、施設・設備の整備が必要だ」「公民館や公民館だよりについて、職員と地域の人たちが一緒に学ぶ機会をつくってはどうか」などの意見が出されました。

安藤委員長は、中間報告書提出時に求めていた稲葉康久委員長との話し合いが実現していないことにふれ、同会議の席上、市教委に再度面会を要望。委員の一人は「そのうち(問題解決を求める)声が小さくなることを狙っているのではないか」と市教委の姿勢を批判しました。

安藤委員長は、「公民館だより」の編集のあり方について、踏み込んだ議論をしていく意向を示しました。(赤旗2015年3月28日付より)