さいたま市議会定例会は3月20日まで開かれました。下水道料金の大幅値上げなど、清水勇人市長の市民負担増の提案に自民、民主、公明、改革フォーラムの各党・会派が賛成する中で、日本共産党市議団(7人)は暮らしを守るために奮闘しました。
2倍以上
清水市長は昨年、下水道料金を今年7月に25.4%値上げすることを打ち出しました。この間の連続値上げも含め、3市合併前の2倍以上の料金になります。
市民はすぐさま反撃し、市革新懇は、値上げ反対の署名に取り組み、2カ月あまりで3万3000人分を集めて議会に請願を提出しました。市長は、市民の声に押され、値上げ幅を21.6%に抑えざるをえませんでした。
共産党の戸島よし子市議は議会で、市が下水道事業への出資金、補助金をゼロにしたことで同事業の企業債への依存が高まり、利息払いが増加したことが大幅値上げの背景にあると指摘。「生活基盤である下水道事業に、一般会計から出資や補助をすることは当然だ」と追及しました。
自民党などは、値上げに賛成し、請願には反対して、市民に背を向けました。
革新懇の神部勝秀事務局長は「値上げを下方修正させたことは市民の声が市政を動かした貴重な成果です。値上げ反対の取り組みで明らかになった市民生活切り捨て、大型開発優先の市政から福祉都市への転換を、来年いっせい地方選挙の争点に押し上げたい」と話しています。
対案示し
清水市長は2期目最初の新年度予算で、安倍政権と歩調を合わせた、市の「成長戦略」を打ち出しました。中身は「都市間競争に勝ち抜いて、選ばれる都市にする」というものです。
「東日本の中枢都市」の基盤づくりとして、駅前など市内6地域を集中的に再開発する「2都心4副都心」開発に引き続き力を入れ、新年度は160億円を計上しました。
昨年、不透明な大会運営や市長専決による赤字補てんが批判を浴びた国際自転車レースの「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」を今年も開催。大会への補助金は3億3000万円と、昨年の倍以上に増やしました。
一方で、市長は「費用対効果」を前面に出し、市民への負担は増やし、サービスは後退させています。
住民票などの証明書の発行手数料を150~200円から300円に引き上げました。自動交付機やコンビニでの発行なら手数料を据え置き、発行の大半を占める区役所窓口を利用した場合は300円にするというものです。職員の手助けが必要な高齢者や障害者などに対し、冷たい仕打ちです。
さらに、子ども医療費無料化制度の改悪も狙っています。
さいたま市では市民の運動の成果で、政令市で初めて中学卒業までの無料化を実現しました。しかし、昨年、市の行財政改革本部は有料化に言及。共産党市議団は、ただちに現制度の堅持を申し入れました。その結果、新年度については制度変更はありませんでしたが、共産党は改悪を許さないための運動の継続を呼びかけています。
負担増と福祉切り捨ての市政に対して、市議会で正面から対決したのは共産党市議団だけでした。
共産党市議団は、予算をわずかに組み替えれば市民要求を実現できると、毎年提案してきました。今議会は、予算全体の5%を組み替えて、下水道料金の値上げストップや国民健康保険税の引き下げ、認可保育所の増設、35人学級の拡充などを実施できると提案しました。
山崎あきら市議団長は「地方自治体に最優先で求められるのは、都市経営戦略ではなく、住民の福祉の向上です。共産党市議団は対案を示しながら、暮らしを守る市政の実現へ引き続き頑張ります」と話しています。(赤旗2014年5月9日付より)