2019年の参院選の埼玉選挙区で、21年ぶりの日本共産党の議席を獲得した伊藤岳参院議員。通常国会では本会議にも立ち、新型コロナウイルス対策で安倍首相とも直接対決しました。あわせて伊藤議員は、当選直後から8月14日までに県内63市町村をすべて訪問し、首長らと懇談しました。首長との懇談で感じたことと今後の活動への決意について、伊藤氏に聞きました。
「全県民的な願いを国会に届けるために頑張ろう」と、当選直後から自治体訪問を始めました。今年の通常国会からは地方自治に深く関わる総務委員会の所属となり、さらに新型コロナ対策が重大問題となるなかで、自治体から直接要望を聞くことの大切さを実感しました。
政治的な立場も違う保守系の首長さんが多いですが、快く応対してくれ、胸襟を開いて率直に話してくれました。懇談前には「15分間で」と指定されるところも多いのですが、15分で話が終わったところはほとんどありません。共感できる話題も多く、「こういう声こそ国会に結んでいかなくては」との思いを強くしました。
特に地方財源の問題は、深刻かつ切実です。「自治体がやらなければいけないことは、医療と福祉、暮らしとはっきりしている。そこを賄えるだけの財源を国は用意してほしい」との声は何人もの首長さんから出されました。この問題では3月、初めて本会議質問に立ち、「地方交付税の法定率の抜本的な引き上げを」と政府に求めることができました。
また、「自治体職員を減らしてはいけない」「行政にとって決定的なのはマンパワーだ。職員一人ひとりが住民に対し丁寧に対応してこそ、行政は成り立つ」などの声が出されたことも印象的です。
ある自治体では、新型コロナでの10万円の特別定額給付金を早く届けるため、庁舎のロビーに職員を配置して相談に来た住民に丁寧に対応し、臨時のコピー機も設置してその場で本人確認書類などもそろえられるようにしたそうです。首長さんは「あと一歩で、住民に一人残らず給付金を届けられる。職員の努力がなければ、できませんでした」と話し、マンパワーの重要性を物語っていました。
新型コロナの問題では、ほかにも地方創生臨時交付金の増額を求める声が相次ぎました。私も国会で繰り返し増額を求めましたが、必ず実現したいとの思いを強くしています。
首長さんたちは、共産党とは立場が違っても、それぞれ「この町をこうしたい」という熱い思いがあると感じています。複数の元自民党県議の首長さんからは、「県議の時は政府に盾突くなど考えてもみなかったが、首長という立場になってみると、国の自治体に対する冷たさにはもの申したいことがいっぱいある」との声もありました。地方自治を生き生きと根付かせていくため、今後の活動や国会での質問に生かしていく決意です。