23日告示 埼玉知事選の争点(下)/苦しい県民の暮らし 柴田氏“福祉向上の使命取り戻す”

埼玉県知事選(23日告示・8月9日投票)は、県民の暮らしを県政がどう支えるかが問われます。県が実施する県政世論調査では「昨年より暮らしが苦しくなった」との回答がこの5年、4割台で推移。その理由に、税金や保険料の負担増、物価上昇をあげる割合が増えています。

「民主県政の会」の柴田やすひこ氏=日本共産党推薦=は「国の悪政の防波堤になり、県民や市町村を応援する県政へ」「住民の福祉向上という自治体本来の使命を取り戻す」と強調。子ども医療費無料化を中学卒業まで拡大することをはじめ、国民健康保険税や介護保険料の負担軽減など「暮らし・福祉重視の県政」を訴えています。

一方、上田清司知事は福祉政策を次々と縮小・廃止し、県民の願いに逆行してきました。

 

弱者には冷たく

有権者と握手する柴田やすひこ候補

有権者と握手する柴田やすひこ候補

県は今年1月、重度心身障害者の医療費無料化制度について、65歳以上で重度障害者になった人は除外する改悪を実行。「年齢で差別するな」「高齢者の厳しい生活実態をみていない」との障害者の悲痛な声にも耳を貸しませんでした。

ほかにも幼稚園父母負担軽減補助金廃止(2012年)、定時制高校の給食費補助・教科書代支給制度廃止(09年)など、冷たく切り捨ててきました。

市町村は、福祉や医療、教育などの住民要求に応えるため、県の制度を超えた施策を実施しています。県政には市町村の努力を応援する姿勢も求められています。

 

子ども医療費は

代表的なものが子ども医療費無料化制度です。県の制度は小学校入学前までですが、県内すべての市町村で中学卒業まで(一部は高校卒業まで)対象にしています。

東京都や群馬県が中学卒業までにするなど県段階での制度拡大が広がっていますが、入院・通院費とも小学校入学前にとどまっているのは近隣都県で埼玉だけです。

新日本婦人の会県本部の高田美恵子副会長は「県が中学卒業までに拡大すれば市町村はほかの施策を拡充させることができます。他県でできているのに財政力のある埼玉にできないはずがありません。少子化対策というのなら、幼稚園父母負担軽減補助金の復活など、もっと子どもにお金をかけるべきです」と話します。

4選をねらう上田氏の公約には、これまでと同様、県民の暮らしを直接温める施策を見られません。一方、自民党推薦の塚田佳祐氏も上田氏と基本的な違いはありません。(おわり)

(しんぶん赤旗2015年7月22日付より)

23日告示 埼玉知事選の争点(上)/戦争法案と教育介入 柴田氏“子どもを戦場に送らない”

埼玉県知事選は23日告示(8月9日投票)されます。5人が立候補を表明していますが、事実上、「民主県政の会」の柴田やすひこ氏=無所属新、日本共産党推薦=と4選をねらう上田清司氏=無所属現=、自民党県連が推薦する元総務官僚の塚田佳祐氏=無所属新=の三つどもえのたたかいです。

 

問われる歴史観

知事選は、戦争法案が安倍政権と自公与党によって衆院で強行可決(16日)され、国民の批判が全国で沸き起こるなかで告示を迎えます。また、被爆・終戦70年の節目を前に、戦争と平和、憲法、歴史認識など、各候補の姿勢も問われます。

上田氏は、県議会6月定例会で戦争法案の認識を問われ「結論めいたことを述べるのは差し控えたい」と回避する無責任な態度をとりました。しかし、上田氏は「9条はおかしな条文。自衛隊は戦力でしょう。きちっと改正すべきだ」(定例会見13年4月)と述べるなど9条改憲が持論。集団的自衛権についても「権利はあるけど使えないというのは法理論的におかしい」(同14年4月)という立場で、「戦争する国づくり」に向かう安倍政権と同じ憲法観の持ち主です。

一方、塚田氏は「(戦力不保持を定めた)憲法9条2項を改正しない改正は拍子抜け」「防衛費GDP1%は異常に低すぎる」(フェイスブック)と憲法9条改定による軍拡を主張しています。

 

知事の姿勢反映

13年9月、県議会の自民党などが、意に沿わない歴に教科書を選定した県立高校の校長を議会文教委員会に呼びつけるという問題が起きました。同年12月には、県立高校の台湾修学旅行の学習内容に介入し、生徒の感想文を提出させました。

自民党などを増長させた背景に、自身の偏った歴史認識を教育現場に押しつける上田氏の姿勢があります。1期目の04年12月には侵略戦争を肯定・美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の元副会長を教育委員に任命し、教科書選定に圧力をかけ、2期目の09年7月には「国旗や国歌が嫌いな教員が辞めるしかない」と議会答弁するなど、教育現場への政治介入を強めてきました。

元立教大学教授の藤田昌士さんは「上田知事は『つくる会』系の教科書を持ち上げ、教科書採択などに介入してきました。半面、埼玉県の公立小・中学校教員1人あたり児童生徒数は、13年5月時点で、小学校が全国最大、中学校が全国で4番目というように、低い水準に置かれています。本来、少人数学級など教育条件整備にこそ責任を持つべき行政のあり方に照らして、上田県政は逆立ちしているといわなければなりません」と指摘します。

小中学校の教員を23年間務めた柴田氏は「子どもたちを戦場に送らない」が信条。知事選では「戦争法案阻止」を前面に掲げています。「教育行政に求められるのは管理や統制ではなく条件整備だ」として、小中学校全学年での35人学級実施や給付制奨学金制度の創設などを公約に掲げています。(つづく)

(しんぶん赤旗2015年7月21日付より)

戦争法案反対示そう/埼玉 柴田知事候補が宣伝

訴える柴田やすひこ候補=2015年7月19日、さいたま市

訴える柴田やすひこ候補=2015年7月19日、さいたま市

23日告示(8月9日投票)の埼玉県知事選で、労組や市民団体、日本共産党などでつくる「民主県政の会」は19日、柴田やすひこ候補=無所属新=を当選させようと、さいたま市の大宮駅前でロングラン宣伝に取り組みました。

県労働組合連合会や新日本婦人の会の代表、医師、弁護士らが次々とマイクを握り「戦争より福祉・医療の充実を」「子ども医療費無料化の拡大を柴田知事誕生で」「戦争法案に反対できるのは柴田さんだけ」などと訴えました。

柴田候補は、多くの国民が「違憲だ」と反対している戦争法案を安倍政権が強行しようとしていると批判。「知事選の一票は戦争法案反対の声を示せる一票です。私はみなさんと手を取り合って全力で勝ち抜く決意です」と力を込めました。

柴田候補は、国の福祉・医療切り捨て政策のもと、介護・福祉施策の整備の遅れや社会保障負担は深刻だと述べ「特別養護老人ホームや認可保育所、学童保育などの整備を進め、地域経済の活性化にもつなげます」と語りました。

(しんぶん赤旗2015年7月21日付より)

埼玉県知事選 県民に寄り添う県政を/柴田候補が政策発表

柴田やすひこ氏

柴田やすひこ氏

23日告示・8月9日投票の埼玉県知事選に立候補する「民主県政の会」の柴田やすひこ候補=無所属新、日本共産党推薦=は16日、県庁内で記者会見し、政策を発表しました。

会見の冒頭、柴田氏は自公による戦争法案の強行可決について「満身の怒りを込めて抗議する」と表明。法案が憲法違反であることは明白だとし、法案成立で県内の米軍・自衛隊基地が強化されると攻撃対象になり「県民のリスクも高まる」と指摘し「知事選を通じて、戦争法案反対の県民のメッセージを安倍政権につきつける」と強調しました。

柴田氏は、高齢者施設や認可保育園など、増え続ける行政需要に対し「県の責任で整備する」と述べました。また、それら生活密着型の「社会保障インフラ」の整備を中小業者の仕事起こしにつなげ、地域経済の活性化に結びつけたいと語りました。

教育政策については「教育内容に介入せず、条件整備をすることこそ求められる」として、35人程度学級の実施などを掲げました。

上田県政の評価を問われた柴田氏は、患者・家族や地域住民の意思を無視して進めた県立小児医療センター移転を例にあげ「現場目線でなくトップダウンで施策が進められている」と批判。「現場で苦しんでいる県民に寄り添った県政にしていく」と語りました。

子ども医療費無料化を中学卒業まで広げ、市町村の無料化制度を後押しすることや、公契約条例を創設なども訴えました。

会見には、会代表の柳重雄弁護士と共産党の柳下礼子県議団長が同席しました。

知事選には、柴田氏と現職の上田清司氏、自民党が推す新人の塚田佳祐氏らが立候補を表明しています。

(しんぶん赤旗2015年7月17日付より)