【さいたま市】市議会報告/解釈改憲反対・表現の自由・子育て/市民守る共産党際立つ

さいたま市議会6月定例会は6月11日から7月11日まで開かれました。

今回の市議会中、安倍政権が集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を強行し、市民の中で反対する世論と運動が大きく広がりました。市議会にも集団的自衛権行使容認に反対する請願(年金者組合提出)が提出され、各党・各会派がどのような態度・立場を取るのかが問われました。

日本共産党(7人)は、本会議で戸島義子市議が「憲法改定に等しい大転換を与党の密室協議を通じて閣議決定で強行したことは、立憲主義を根底から否定するものだ」と主張し、採択を求めました。

自民は討論せず

一方、自民党と公明党は安倍政権の「閣議決定」を擁護。自民党は討論も行わず、公明党は「閣議決定をよく読めば、請願の『日本を海外で戦争する国にするもの』という批判は全く筋違いであることは明白だ」と述べて、いずれも請願の採択に反対しました。

民主党は、閣議決定について立憲主義の原則を損なうものだと批判しましたが、「憲法改正は否定しない」として請願の採択には反対。安倍政権とキッパリ対決する足場がないことを示しました。

みんなの党や無所属の議員が集まる「改革フォーラム」は同請願への態度がまとまらず、採択では3人が反対、4人が退席と会派内で分かれました。

年金者組合さいたま支部協議会の飯塚勉会長は「組合員の中には戦争体験者もいて、自分たちの子どもや孫を戦争に行かせたくないという思いから請願を提出した。他党が反対するなかで、戦争に唯一反対してきた共産党だからこそ、明確な主張で請願に賛成してくれたのだと思った」と話しています。

公民館の俳句掲載拒否問題で、市に申し入れる党市議団(右)=2014年7月8日、さいたま市役所

公民館の俳句掲載拒否問題で、市に申し入れる党市議団(右)=2014年7月8日、さいたま市役所

7月上旬、大宮区の三橋公民館が、同館俳句サークル会員が「9条守れ」と訴えるデモを詠んだ俳句の「公民館だより」への掲載を拒否したことが発覚。党市議団はただちに市に「憲法が保障する表現の自由を侵害するものだ」と抗議しました。

他会派から懸念

市政問題では子ども・子育て支援新制度に関する条例案をめぐって違いがくっきり。

共産党は、給食の外部委託による子どものアレルギーなどに対する懸念、国家資格を持たないものによる保育を認めていることで事故の危険性が高まるなどの問題点を指摘し、四つの条例案に反対しました。条例案の問題点を追求するなかで、他会派からも議案に対する懸念の声が聞かれるようになり、すべての会派が意見を出し合い、「懸念事項のとりまとめ」として市に提出するなどしました。

一方、自民党と公明党はすべての条例案に賛成し、公明党は保険福祉員会の質疑のなかで、認可保育所の面積基準の引き下げを執拗(しつよう)に要求しました。

共産党は、市立大宮西高校が中高一貫の「中等教育学校」への移行に伴い新入生の募集を停止しようとしていることについて、募集継続を要求するなど市民の暮らしと福祉を守るために力を尽くしました。(赤旗2014年8月1日付より)

「専門医療残して」小児医療センター移転に患者家族

埼玉県立小児医療センター(さいたま市岩槻区)の、さいたま新都心(同市中央区)への移転問題で県は26日、患者家族を対象にした説明会を同センターで開きました。

県は、2016年に新センターを開院した後、現在地に残すとした「外来診療機能」について素案を提示しました。それによると、現在地では、移転で通院の負担が大きくなる患者171人(2012年調査時点)を対象に、吸引や気管内挿管した管の交換、一般小児外来、リハビリなど「日常的な医療管理」を実施。専門医療は行わず、開院日数も現在の週5日より少なくする意向です。

患者家族からは「夜間に具合が悪くなった場合に新都心まで行けないので現在地で対応してほしい」「容体が急変したとき開院していない日があっては困る」「最低限の救急外来、入院体制が必要」など、専門医療、救急体制を求める意見が相次ぎました。

しかし、県は「人や設備が二重に必要になる。特殊な医療は新病院に来てほしい」として、現在地の機能を一般内科診療に限定する考えを重ねて示し、参加者から失望の声が上がりました。

一方で、中村譲センター病院長は「(現在地の)この病院に(診療していない)電気が消えている時間があってはならない。救急も一度は診て差し上げたい。そういう意味でここは拠点。みなさんの気持ちを今後も県に伝えていく」と述べました。(赤旗2014年7月31日付より)

核廃絶訴え続ける 被害者に償いを

「慰霊のことば」を読み上げる田中会長=2014年7月27日、さいたま市

「慰霊のことば」を読み上げる田中会長=2014年7月27日、さいたま市

埼玉県原爆被害者協議会(しらさぎ会、田中熙巳会長)は27日、さいたま市南区の別所沼公園内にある「原爆死没者慰霊の碑」前で被爆69周年、29回目の追悼式を開きました。

「慰霊のことば」を読み上げた田中会長は、核兵器廃絶、国による原爆被害者への償いを求めました。安倍政権による集団的自衛権行使容認を念頭に「再び戦争をしないことを定めた憲法9条の解釈を変えることで、日本は戦争をする国に変えられようとしています。戦争を知らない世代に戦争の悲惨さ、愚かさを強く訴えてほしいとの亡くなられたみなさま方の声が聞こえてくるようです」と訴えました。

各党の国会議員や県議、市議が参列し、日本共産党は塩川鉄也衆院議員、奥田智子県議、久保美樹市議が出席しました。あいさつで塩川議員は、原爆症認定制度の抜本的改定や、来年の核不拡散条約(NPT)再検討会議成功に向けた「核抑止力論」の克服を強調し「そのためにも戦争する国づくりをめざすような(安倍政権の)あり方が問われています」と語りました。(赤旗2014年7月29日付より)

さいたま市民集会の発言から

さいたま市の北浦和公園で21日に開かれ、安倍政権の集団的自衛権行使容認に反対する2200人の参加者で熱気に包まれた「オールさいたま市民集会」。埼玉弁護士会の大倉浩会長の連帯あいさつと、元自衛隊員の井筒高雄さんのゲストスピーチは参加者の心を打ちました。

 

「平和の危機訴える社会的使命ある」
埼玉弁護士会会長 大倉浩さん

大倉浩さん

大倉浩さん

大倉会長は「埼玉弁護士会は政治的問題には一定の距離を置いていますが、憲法の平和主義が戦後、これほど危機的な状況の中で、この問題がいかに大きなものか市民のみなさんに説明する社会的使命がある」と力を込めて話しました。

戦争の悲劇を次の世代にもたらすことのないよう、力を合わせることを参加者に呼びかけた大倉会長はこう訴えました。「埼玉弁護士会は平和主義の実現めざして、全力でたたかいます」

 

 

「人を殺すこと総理は想像できない」
元陸上自衛隊隊員 井筒高雄さん

井筒高雄さん

井筒高雄さん

「大きな過ちを二度と繰り返さない、戦争に加担させないために、こうして実名でいろいろな場で発言しています」。こう訴えたのは元陸上自衛隊3等陸曹・レンジャー隊員の井筒さんです。1992年のPKO法成立に伴い依願退職したことに触れ「日本への直接・間接侵略に対して国を守るという誓約書にはサインしたが、海外の、日本と全く関係ないところで、戦争をしろというのは、明らかな契約違反だ」と強調しました。

その上で、安倍首相が国会で「(自衛隊の活動場所で)戦闘が行われれば、中止・中断して引き揚げる」などと答弁したことに対し「戦争する、人を殺すというのがどういうことなのか、安倍総理は全く想像力が働いていない」と批判。「だまされず、ぶれず、萎縮せず、継続してみなさんと共にたたかい、安倍総理の暴走を食い止めていきたい」と訴えると、会場は大きな拍手に包まれました。(赤旗2014年7月23日付より)

政府に「だまされない」2200人/憲法9条違反の閣議決定に反対 さいたま市民集会

「集団的自衛権行使容認に反対する7.21オールさいたま市民集会」が21日、さいたま市の北浦和公園で開かれ、開場いっぱいの2200人が「安倍政権の暴走をストップさせよう」と声をあげました。実行委員会が主催し、集会後はJR浦和駅までパレードしました。

あいさつした小出重義実行委員長(弁護士)は、集団的自衛権は他国を守るための「集団的他衛権」であり、憲法9条に反していると指摘。「閣議決定はあくまでも政府の意思表示。戦争をさせないために、政府に『だまされない国民』として一緒にがんばりましょう」と訴えました。

元自衛隊員の井筒高雄さんがゲストスピーチし「戦争をして人を殺すのがどういうことか、安倍総理はわかっていない。これからも共に行動し、安倍総理の暴走を食い止めましょう」と呼びかけました。

埼玉弁護士会の大倉浩会長が連帯あいさつ。日本共産党の山崎章市議、民主党市議、社民党県議も参加し、あいさつしました。

インターネットで集会を知り、夫と参加した女性(38)は「権力が暴走してきた歴史のなかで、暴走を食い止めるために憲法が作られたのに、それを解釈で変えれば何でもできてしまうし、危険だと思う」と話しました。(赤旗2014年7月22日付より)